バンドマンに村を燃やされている。

日常の潤いに少しでも乾きを!

2023年3月10日

 

タイが4つでしにたい。

 


という何にも引っかからない言葉が頭の中を占拠してから12時間経ったのでブログを書きます。現在3/10午前3時。

 


歯を磨いています。気持ちが落ちるとなぜ歯を磨くのか。タスク消化がわかりやすいからじゃない?染め出しで課題を見つけて無心でブラシを左右に動かす。それだけで赤い色の部分がどんどん減っていくし終わりも見える作業。楽でいいな。風呂よりずっと楽だ。人に会うまで風呂なんか入らねえからな。

 


私は身体の中でも歯は大事にしたいな、と思ってます。ワキガになるか歯が抜け落ちるかどっちか選べって言われたら迷いなくワキガを選ぶくらいには。脇から異臭がしても人にできるだけ会わなきゃ被害はでないけど、歯はとにかく自分の生活を一瞬で脅かしますからね。お金があったら下の前歯を今すぐ矯正して歯並びを治したいです。ここから崩壊しそうでとても怖いから。

 


歯磨きしてる時はずっと鏡を見なきゃならないのだけど、春は気が狂れてしまうので自分の顔がちゃんと認識できる日が少ない気がします。今も、これは私なのかなあと思って髪の毛を掴んで振り回したりします。同じ動きをしているから私なんだな。変な顔してんな。目がでかくて細いぞ。

 


冬の気が引き締まる寒さからこのぬるさになると吐きそうになるね。あたり一面水分を含んだにおいが立ち込めるし、カエルがうるせえし、暴走バイクもうるせえし、色彩も鮮やかになって春になるんだなあ。

 


私は時間で金をもらう生活だから、休んだ分だけライフに直結するので休めません。マグロのように動きます。止まったら死ぬ。止まってみようか。これだから春はいけねえ。自転車操業な生き方してるのは責任逃れした私への責任なので仕方ない。

 


寝ましょう。

2021年6月20日。

 

作り話をしましょう。どこまでが作った話かわかりづらくなってしまうので目安として、話の終わりには「おしまい」という言葉をつけます。それより前は全部作り話だと思ってくださいね。

 

 

私、4月に目の手術をしたんです。斜視っていう病気で、右目と左目が違う方向を向いてしまって、ものがひどくずれて、ダブって見えたりする病気です。人の目は両目で見ることでものを立体的に感じるんですけど、私は片目同士の映像しか映せなかったので立体視の機能は完全になくなってたんです。そのせいで色々見間違えることも多くなってしまいました。

 

話は少しずれますが、シャンプーしてる時後ろに気配を感じることがありますよね。私にもありました。それはドライヤーをしている時なんですけど、決まって夜中の2時過ぎに"ソレ"を感じるんです。


鏡を見てドライヤーをしていると、視界の左端に、黒いもやのようなものがちらつくんです。それが厄介なことに、ピントを合わせるためにそちらに目をやろうとするとまた逃げるように左にずれていく。私は夜中に風呂に入ることが多かったのでそんなやりとりが何日が続いたころ、気がつきました。

 

"ソレ"は視界にうつってるんじゃなくて、目の中にいるんです。だから追っても追いつかない。

 

正直別の意味で恐怖しました。手術を目前に控えていて、また別の病気にかかっていることが発覚したら延期になってしまいますから。私は次の手術前診察で医師にそのことを話しました。いつもより入念に検査と診察をしてもらいましたが、目には何も異常がありませんでした。


異常がないなら別にいいやという気持ちで手術当日を迎え、日帰り手術なのでその日は母とビジネスホテルに泊まりました。

 

眼球に溶ける糸を使用した手術なので術後1週間は刺さるような痛みを感じることがあると説明を受けていました。たしかに目を閉じると数秒でチクリとした痛みが走り、夜はなかなか寝つけませんでした。特に左目の痛みが辛く、朝日が登る頃痛み止めが効いてやっと眠りにつくことができました。

 

眠りが浅かったのでしょうか。夢を見ました。どこかのビル街になぜか私しかいません。自分でもああこれは夢だと思いました。夢ならなにしても現実に影響ないだろうとそのまま歩きました。夢って実際のものと違ったとしてもなんとなくそれを受け入れてますよね。たしかにその時もビル街にはありえないような波打つ道や大きなトンネルを潜ったりしました。

 

どこまで歩くんだろうなあと思った時、左端に見覚えのある"ソレ"が現れました。夢にまで現れるのかと驚きながら思わずそちらに顔を向けると今まで視界の端に居続けた"ソレ"が全く逃げず、しっかりとこの目で捉えることができたのです。一体どんな姿だったのか、今となってはよく思い出せません。ただそのあと砂嵐のように目の前が揺れたと思ったら両肩を誰かにポンと叩かれ、「間に合ってよかったね」という声がしたのは覚えています。声の主は女性とも男性とも捉えられる不思議な音をしていました。

 

左目の鋭い痛みとともに目が覚めました。痛み止めが切れたのでしょう。チェックアウトの時間ギリギリだったのでそのあとは母と急いで支度をして家に帰りました。2ヶ月以上過ぎましたが、目は順調に回復して立体視機能も取り戻せました。術後"ソレ"に一度も会っていません。

 

本当に斜視による異常だったのか。もし少しでも遅れていたら間に合わなかったのでしょうか。だとしたらなにに間に合わなかったのか、それは分かりませんが今健康に過ごせて良かったなぁと思っています。

 

という作り話でした。おしまい。

 

 

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ところで私が冒頭でお話したことは覚えていますか?

 


『作り話をしましょう。どこまでが作った話かわかりづらくなってしまうので目安として、話の終わりには「おしまい」という言葉をつけます。それより前は全部作り話だと思ってくださいね。』

 

 

そして私は、どんなふうに話を終えましたっけ。

 

2020年4月4日。

 

 

太った大きな人間。

 


太った大きな人間は夜になると深い眠りにつく。深く眠ったその体はまるで小さな山のよう。山の頂上であるヘソが、呼吸とともにゆっくり上下する。
しばらくすると体が布団からはみ出るように溶けていく。溶けた体はやがて膨らみ、ちぎれて二人の太った大きな人間になる。

 


二人の太った大きな人間は仰向けのまましばらく眠る。人間が二人になったのだ。疲れているに決まっているだろう。小さな部屋に大きな山が2つ。規則正しく上下に動く。

 


たくさん眠った二人の太った大きな人間は、朝日が昇る少し前に起き上がる。眠っていてかたくなった体を、少しずつ解くように動かしていく。太った大きな人間が、一人で眠っていた部屋に、二人。お互いの体がぶつからないように。慎重に、慎重に。

 


肩が回るようになった。足が大きく上がるようになった。二人の太った大きな人間は、何も言わずに向き合っている。やがてゆっくりと足を広げ前かがみになる。さぁ、見合って見合って。

 


二人の太った大きな人間が、両の手を地面につけたら、のこったのこった。山のように盛り上がった肩がぶつかる。大木のように頑丈な脚が踏ん張る。ばしんばしんと肌を張るたびに空気が波打っていく。

 


やがて大きな地響きがした。二人の太った大きな人間の、片方が床に倒れている。立っている太った大きな人間は、布団に戻り深い深い眠りについた。
窓の隙間から柔らかく鋭い光が入ってくる。朝が来たのだ。床に倒れた太った大きな人間は、光に溶けるように消えてなくなった。しばらくして、布団がもぞもぞと動き出す。

 


やわらかい布団がガバリと勢いよくめくられ、中から太った大きな人間が目をこすりながら出てくる。冷たい水で顔をバシャバシャと洗い、着替えを済ませ、朝ごはんを食べる。こうして1日が始まる。

 


太った大きな人間は、毎夜相撲を取ることも、自分が一番相撲が強い自分だということも気がついていない。だってずっと深い眠りについていたんだから。